GA4とBigQueryを連携した際のBigQueryの料金について【新料金体系も解説】

2023年7月1日をもってUA(ユニバーサルアナリティクス)のデータ計測が終了し、GA4(Googleアナリティクス4)への移行・利用を余儀なくされる形となりましたが、そのタイミングで、BigQueryの利用を検討している企業も増加傾向にあります。

GA4とBigQueryを連携すると、UAでは取得できない生データをエクスポートすることができるため、GA4単体ではできない高度なデータ分析や、自社ビジネスの発展に繋がるインサイトの発見に役立てることができます。

GA4とBigQueryの連携自体は無料でできますが、一方で、BigQueryの利用にはどのくらいの料金が掛かるのかが分かりづらいという声も聞かれます。

そこでこの記事では、GA4とBigQuery連携した場合の料金や、BigQueryの料金を抑えるためのコツなど、複雑なBigQueryの料金体系についてわかりやすく解説していきます。

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目次

GA4とBigQueryの連携は無料

BigQueryは、Googleが提供している「Google Cloud」のクラウド型データウェアハウスツールです。大量のデータの「保管」と「超高速処理」ができ、高度な専門知識がなくても迅速に分析結果を取得することができるため、多くの企業で導入されています。

UAでBigQueryを連携させるためには、有償版GA360(UA)を使用する必要がありましたが、GA4では無料でBigQueryと連携できるようになり、BigQueryを導入するハードルが大きく下がりました。

GA4のデータを使ってより高度な分析をしたい方は、すぐにでもBigQueryを連携してデータ分析のための準備をすべきでしょう。

※関連記事:GA4とBigQueryの連携で実現する6つのメリット【連携手順や注意点などを徹底解説】

BigQueryの料金体系

BigQueryの料金は大きく分けて「ストレージ料金(保存したデータのサイズに応じて支払う料金)」と、「分析料金(SQLクエリを使ってBigQuery内のデータを抽出するための料金」の2つの部分から成り立っています。

ストレージ料金

まずストレージ料金についてですが、こちらはBigQueryでデータを保管するための費用のことを指します。ストレージ料金の費用が変動する主な要因は、大きく2つです。

  • 保存するデータのサイズ
  • データの保存期間

ただし、長期間アクセスされていないデータについては、自動的に長期保存(ロングタームストレージ)に移行し、料金が安くなります。具体的な長期保存の料金については、後述の「ストレージ料金の新しい料金体系について」に記載していますのでご確認ください。

分析料金

分析料金は、BigQueryからクエリでデータを抽出するための費用のことを指します。分析料金の費用が変動する主な要因は、大きく2つです。

  • 抽出するデータのサイズ
  • 抽出する頻度

つまり、分析のために大量のデータを高頻度で抽出すればするほど、分析料金は高くなります。ですので、分析料金はクエリでデータをどのように抽出するかで費用が大きく変わります。

例えば、保存したすべてのデータを抽出するようなクエリは、一部のデータだけを抽出するクエリよりもデータサイズが大きくなり、費用も高くなりますので注意が必要です。

具体的なBigQuery料金については、2023 年 3 月 30 日に開催された「Google Data Cloud & AI Summit」で「ストレージ料金」「分析料金」の新料金体系が発表され、2023 年 7 月 5 日より適用されていますので、従来の料金体系と比較して解説いたします。

※参考:データクラウドに柔軟性と予測可能性をもたらす、新たな BigQuery Editions を発表

ストレージ料金の新しい料金体系について

新料金体系では、大抵のユーザーでストレージ料金の削減が期待できます。

従来の料金体系では「圧縮されていないデータのサイズ」に応じた「論理ストレージモデル」での課金となっていましたが、新料金体系では新たに「圧縮後のデータのサイズ」に応じた「物理ストレージモデル」での課金を選択できるようになりました。

※「アクティブストレージ」は過去90日間に変更されたテーブルで、「長期保存」は過去90日以内に変更されていないテーブルのことです。

物理ストレージの料金は論理ストレージの約2倍となっていますが、物理ストレージの場合、圧縮効率は一般的に約4~12倍と、非常に高い圧縮率になるため、通常はストレージ料金が大幅に削減できると言われています。

新料金体系(物理ストレージ)と従来の料金体系(論理ストレージ)についてまとめると以下のとおりです。

  • 1:タイムトラベル:過去に遡ってデータを参照する BigQuery の機能のこと
  • 2:フェイルセーフ(Fail Safe):Google Cloud の内部で保持されるバックアップを用いて、Google Cloud サポート経由で BigQuery のデータを復旧できる仕組みのこと
  • 3:東京(asia-northeast1)リージョンの料金

ただし、デフォルトでは論理ストレージが適用されており、物理ストレージに変更するには設定を変更する必要があること。また、物理ストレージを選択した時は、「課金対象」が保存されたデータのみでなく、タイムトラベル用データ、フェイルセーフデータも含まれるということに注意しておきましょう。

分析料金の新しい料金体系について

従来の分析料金は「オンデマンド分析」「定額料金」の 2つの料金体系が用意されていました。

オンデマンド分析は引き続き提供されていますが、BigQuery のサーバーレス機能、クエリパフォーマンス、機能の改善などにより2023年7月5日以降、すべてのリージョンのオンデマンド分析モデルの価格を25%値上げしています。

その一方、月額、年額の定額料金は廃止され、「BigQuery Editions」という料金体系に移行されました。

BigQuery 全体の料金としては、物理ストレージを選択する前提で料金削減効果を加味すると、保存データ量が多くクエリが少ないユーザーは料金が減る可能性が高く、逆に保存データ量が少なくクエリが多いユーザーは料金が増える可能性があります。

クエリを多数実行することが想定される場合は、「BigQuery Editions」によるコスト適正化を検討することをおすすめいたします。

なお、BigQuery Editions は定額料金と同じくスロット単位の課金ですが、スロットのオートスケーリング機能が使用できるという点に違いがあります。また、BigQuery Editions には 3つのプランが用意されています。利用するプランによって提供される機能に差があるため、

  • 必要な機能
  • コストパフォーマンス

を考慮してユースケースに合わせてベストなプランを選択しましょう。

  • 東京(asia-northeast1)リージョンの料金

また、料金については、従来の定額料金と単純比較すると値上がりをしているように思えますが、オートスケーリング機能を実装したことにより、コンピュート容量型の定額課金でありながら、クエリ負荷が上がったときに動的にスケールするようになり、従来の定額料金と比べてコンピュート能力の使用効率が最大で40%高まると言われています。

そのため、従来の定額料金ですと100スロット単位で固定の費用が掛かるため使わないタイミングでは余剰な料金が発生しておりましたが、BigQuery Editionではオートスケーリング機能により、利用したスロット/時間に応じて料金が発生するため、コストを予算内に抑えて料金の最適化ができます。

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GA4とBigQueryを連携した際のBigQueryの料金

ここまでBigQueryの料金について詳しく説明して参りました。ここからはGA4とBigQueryを連携した場合に、BigQueryの料金がどのくらい掛かるのかを解説していきます。

GA4からBigQueryへのデータエクスポートのコスト

Googleアナリティクス 4(GA4)と BigQuery を連携させると、ユーザーのウェブサイトやアプリケーションでの行動データをタイムリーにBigQueryに送ることができるようになります。

冒頭でお伝えした通り、GA4からBigQueryへのデータエクスポート自体のコストは無料ですが、エクスポートされたデータはBigQueryのストレージ領域を使用します。

したがって、データ量が増えるほど、ストレージ料金が増えていく(ストレージ料金は保存するデータの量によって決まる)ため、大量のデータを長期間保存する場合は、それに伴うコストを考慮する必要があります。

GA4データを用いたBigQueryの分析コスト

BigQueryでデータを分析する際の料金(クエリコスト)も重要な考慮点です。

BigQueryの分析料金(クエリコスト)は、BigQueryから取得するデータの量に基づいているため、GA4から大量のデータをエクスポートし、それをBIツールなどで接続して頻繁に取得すると、それだけクエリコストも増加します。

ただし、クエリの作り方によってもコストは変わります。具体的には、ある期間の実績を表示するようなグラフの場合、エクスポートしたすべての日付のデータをスキャンするようなクエリは、1ヶ月分のデータだけを取得するようなクエリよりも高コストになりますので、注意が必要です。

無料枠の有効活用

ストレージ料金については、毎月10GBまで無料で利用することが可能です。GA4からエクスポートしたデータがこの範囲内であれば、ストレージ料金を気にすることなくデータを保存できます。

一方の分析料金については、毎月1TBまでのデータ分析(クエリ)が無料です。大規模な分析を行わない運用の場合や、データ取得の仕組みを最適化している場合には、この無料枠だけで多くの分析をカバーできる可能性があります。

注意点として、無料枠を超えた使用については料金が発生するため、データのエクスポート量や分析の頻度を管理し、無料枠を最大限に活用することが重要です。

また、予想外のコストが発生しないように、後述する定期的な使用状況のチェックや、予算を超えないような設定をすることも推奨されます。

料金を抑えるための最適化手法

GA4とBigQueryを連携した場合の料金について解説しましたが、最適な設定や運用をしないと予想外の料金が発生してしまうことがご理解いただけたかと思いますが、続いては、安全にBigQueryを利用するためのポイントについて解説いたします。

データ管理のベストプラクティス

BigQueryの料金を抑えるための最初のステップは、データ管理のベストプラクティスの適用です。

まず、必要なデータだけを保存し、不要なデータは定期的に削除することで、データ保存コストを抑えることができるようになります。

また、BigQueryはアクセスされないデータを自動的に低価格の長期保存ストレージに移行します。この機能を活用するためには、頻繁にアクセスするデータとそうでないデータを適切に管理することが重要です。

クエリ最適化のテクニック

クエリの最適化も、BigQueryの料金を抑える重要な手法です。

クエリの読み出すデータ量が多ければ多いほど、データ分析コストが高くなります。そのため、クエリを工夫し、必要なデータだけを読み出すようにすることで、分析コストを抑えることができます。

例えば、日付パーティション化されたテーブルからデータを読み出す際には、必要な日付範囲だけを指定するといった方法があります。また、クエリ結果のキャッシュ機能を活用することでも、料金を節約することができます。

クエリの上限設定

一定のコストが発生したらクエリを自動的に停止するように、クエリの上限を設定することができます。これにより、想定外の高額なコストが発生するのを防ぐことができます。

アラートの設定

Google Cloudでは、予算アラートを設定して、特定のコストが発生した時に通知を受け取ることができます。これにより、コストが予期せぬレベルに達した場合に迅速に対応できます。

BigQuery Editionの検討

高頻度で大量のクエリを実行する運用の場合、オンデマンド料金よりも定額料金制のBigQuery Editionの方が経済的になることがあります。使用状況に応じて最適な料金モデルを選ぶことも大切です。

コスト管理のツール

Google Cloudは、コストを効果的に管理するための様々なツールを提供しています。例えば、「Google Cloud Console」では、プロジェクトの料金をリアルタイムで確認できます。

また、「Cloud Billing レポート」を使用すると、時間やサービスごとの料金分布を視覚的に理解することができ、コストを削減するためのヒントを得られます。

以上が、比較的簡単に行えるBigQueryの料金を抑えるための主な最適化手法です。これらの手法を活用して、BigQueryをより効果的に、かつコスト効率よく使用しましょう。

まとめ

本記事ではGA4とBigQueryを連携した場合の料金について解説して参りました。GA4と連携した場合、BigQueryをどこまで無料で利用できて、どこから有料になるのかなど、BigQueryの最適な利用方法についてご理解いただけたかと思います。

BigQueryの導入を検討している方はまず、GA4とBigQueryの連携をしてみて、無料の範囲でどのように活用できそうかを検証してみると良いと思います。

また、BigQueryの料金体系が2023年7月に切り替わり、混乱していた方も多いかと思われますが、この記事で料金の変更点もお分かりになったかと思います。

ただ、それでもBigQuery導入コストの見積もりを自社でおこなうのはなかなかハードルが高い…」いと感じている方は、ぜひ、BigQueryの導入サポートをおこなっている弊社までお問い合わせください。

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