GoogleアナリティクスのバージョンがUA(ユニバーサルアナリティクス)からGA4になり、実に様々な部分が変更されましたが、中でも多くのユーザーを驚かせたのがGA4のデータ保持期間が大幅に短くなった点ではないでしょうか。
このデータ保持期間の変更は、UAで当たり前におこなっていた分析ができなくなるなど、決して軽視できない内容になっています。
そこでこの記事では、今回のデータ保持期間の変更が具体的にどのような影響を及ぼすのかといったところから、データ保持期間をデフォルトの2ヶ月から14ヶ月に変更する方法、さらにはBigQueryとの連携によって保持期間をさらに延ばす方法など、GA4のデータ保持期間について徹底解説いたします。
GA4のデータ保持期間とは
GA4のデータ保持期間とは、Google Analytics 4 (GA4) で収集されたユーザーデータが自動的に削除されるまでの期間のことです。データ保持期間が経過すると、特定のユーザーデータは自動で削除されます。
GA4では、このデータ保持期間は最長で14ヶ月となっており、これは前のバージョンであるユニバーサルアナリティクス(UA)の最長50ヶ月と比べて大幅に短くなっています。
この設定は、データのプライバシーを重視し、不要なデータの蓄積を避けるために導入されています。
データ保持期間の影響を受けるレポートの種類
GA4のレポートは、大きく「標準レポート」と「探索レポート」の2つに分類されていますが、GA4のデータ保持期間の設定は、それぞれのレポートに異なる影響を与えます。
標準レポート(データ保持期間の影響なし)
標準レポートは、GA4の基本的なレポートで、データ保持期間の設定の影響を受けません。これには、トラフィックの概要やユーザーの行動、コンバージョンなどの基本的な分析が含まれます。
これらのレポートは、データ保持期間が経過しても、過去のデータを含めて常に利用することが可能です。
探索レポート(データ保持期間の影響あり)
探索レポートは、ユーザーが自由にカスタマイズし、データを深堀りして分析できるレポートです。このレポートでは、データ保持期間の設定が重要となり、設定した期間を過ぎたデータは利用できなくなります。
データ保持期間が短い場合、長期間にわたるトレンドの分析や、ユーザーのセグメント別の分析が困難になります。例えば、去年と今年など年単位のデータを比較分析することができなくなり、ビジネスの戦略立案や効果測定に支障をきたす可能性があります。
また、探索レポートでは、ユーザーの行動パターンやコンバージョンのパターンを詳細に分析できますが、データ保持期間の制約により、これらの深い分析が限定されることになります。これにより、マーケティング活動の最適化やUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善が難しくなる可能性があります。
このように、探索レポートの利用にはデータ保持期間の設定が直接影響し、短い期間設定では分析の幅が狭まってしまいます。
GA4のデータ保持期間を2ヶ月から14ヶ月に変更する方法
GA4では、デフォルトでユーザーデータの保持期間が2ヶ月に設定されていますが、これを14ヶ月に変更することができます。以下は、その変更手順です。
1. GA4にアクセス
まず、GA4のダッシュボードにアクセスし、ログインします。
2. 「管理」セクションに移動
ダッシュボードの左下にある「管理」をクリックして、「管理」セクションに移動します。
3. 「データ設定」>「データ保持」オプションを選択
「管理」セクションの中から、「データ設定」>「データ保持」オプションを選択します。
4. 「イベントデータの保持」で「14ヶ月」を選択
「データ保持」ページに移動したら、「イベントデータの保持」のドロップダウンメニューから「14ヶ月」を選択し、設定を保存します。
14ヶ月のデータ保持期間が探索レポートに与える影響
前年同月の比較が2ヶ月分しかできない
データ保持期間が14ヶ月の場合、前年同月のデータとの比較が可能なのはわずか2ヶ月分です。これにより、前年の同じ時期のデータを参照しての分析や、年間を通じた施策の評価が難しくなります。
特に、季節性の強い業界では、この制約がビジネスの戦略立案や効果測定に大きな影響を与える可能性があります。
季節の変化や年一のイベントを比較しにくい
年間を通じての季節性や、年に一度の大きなイベントの影響を分析する際に、前年同期との比較が難しくなります。これにより、季節ごとのマーケティング戦略の効果測定や調整が困難になる可能性があります。
長期間のユーザー価値を探るのが難しい
データ保持期間の制約により、ユーザーのライフタイムバリューを正確に計測するのが難しくなります。これにより、ユーザーの長期的な価値を理解し、それに基づいたマーケティング戦略や顧客関係管理の最適化が困難になる可能性があります。
14ヶ月を超えるデータは自動削除される
GA4のユーザーデータは最長で14ヶ月間しか保持されませんが、これは、今日の日付から遡って、最長14ヶ月前のデータまでしかアクセスできないことを意味します。
つまり、14ヶ月を超えるデータは、システムによって自動的に削除されてしまうのです。
この制約により、前年同月比を含む長期間の比較分析をおこないたい場合などは特に問題となります。
例えば、2年前や3年前のデータとの比較は、現在のGA4の仕様では不可能です。これは、ビジネスのトレンド分析や戦略立案において、大きな障壁となり得ます。
この問題を解決し、より広範なデータ分析を可能にするためには、必要に応じてデータ保持期間を延長する必要があります。次の章では、データ保持期間を14ヶ月より長くする2つの具体的な方法について詳しく解説します。
データ保持期間を14ヶ月より長くする2つの方法
GA4のデータ保持期間を14ヶ月よりも長くしたい場合、以下の2つの方法が考えられます。
方法1.有料版のGAにアップグレードする
GA4には無料版よりも機能が豊富な有料版のGoogleアナリティクス(GA360)があります。有料版にアップグレードすることでデータの保持期間を最大で50ヶ月に設定することが可能になります。
しかし、有料版GAの月間利用料金は数十万円~となるため、予算が限られている企業にとっては少々ハードルの高い選択肢となります。
方法2.BigQueryと連携してGA4データをエクスポートする
GA4のデータの保持期間を14ヶ月以上に延長することはできませんが、GA4とBigQueryを連携してデータをエクスポートすることで、疑似的にデータの保持期間を延長することが可能になります。
しかし、BigQueryにエクスポートしたデータを使って分析をおこなうためには、SQLの知識が必要になるため、初心者にはハードルの高い選択肢となります。
データ保持期間を延長するならBigQueryとの連携がおすすめ
データ保持期間を14ヶ月以上に延長(データ保持期間の制限を受けないように)することで、長期的なビジネス戦略の策定や、深いデータ分析が可能となります。
特に、BigQueryとの連携は、データ保持期間を延長できるだけでなく、GA4の生データを扱った分析や、GA4以外のデータ(顧客データや購買データ、オフラインのデータなど)と統合した分析も可能になるため、非常におすすめです。
ただし、BigQueryと連携した分析をおこなうためには、SQLの知見が必要になるなど、初心者には少々難しい部分があります。社内にSQLの知見を持つ方がいれば、一度相談をしてみましょう。
もし、自社にSQLのスキルを持ったスタッフがいない場合は、外部の専門家に設定を依頼するなどの対応が必要になります。
弊社では、SQLなどの知見を持たない企業様などをサポートすべく、GA4とBigQueryの連携を支援するサービスを展開しております。
「GA4とBigQueryを連携して、データ保持期間の縛りに関係なく、データ分析ができる環境を整えたい!」
「でも、社内にSQLがわかる人がいないから自社で解決できそうにない…」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。